2026年09月30日
新潟の日本版DBS対応支援(保育園・こども園・放課後等デイ向け)はこちら
保育所や放課後等デイサービスなどの園長・管理者の方から、「就業規則は何を変えればよいのか」というご相談をいただきます。この記事では、こども家庭庁のガイドライン・Q&Aと、国が示す就業規則の参考例をもとに、見直す項目を整理します。
この記事の要点
防止措置とは、性暴力のおそれがあると認めたときに、その職員をこどもと接する業務から外すなどの対応です。防止措置(内定取消し、試用期間中の解約、配置転換など)は、労働関係法令を守って行います(Q&A基礎7-3)。懲戒は、就業規則に種類と事由がなければできません(就業規則参考例)。懲戒の規定は、規定を作る前の行為にさかのぼって使うことができません。法律の施行前でも、法律の定義と同じ内容で就業規則を変えることはできます。そのうえで、就業規則の附則(施行日などを定める最後の部分)に、施行前から適用すると書いておくこともできます。だから、早めに整えておくと安心です(就業規則参考例)。
範囲は、就業規則などであらかじめ定めておくのが適当とされています。パート・契約社員用の就業規則を別に作っている場合は、そちらにも同じように定めます。事務員など、こどもと接する機会のない人は、ただし書きで除く規定例があります(参考例)。
| 施設 | 職種全体が対象 | 一部が対象になり得る |
|---|---|---|
| 保育所 | 保育所の長・保育士・保育補助者 | 嘱託医、調理員、看護師等、送迎バス等の運転手、その他職員 |
| 放課後等デイサービス | 管理者、児童指導員、保育士、児童発達支援管理責任者、機能訓練担当職員、看護職員、指導員、その他報酬算定の対象として法令上規定される職員 | 嘱託医、送迎バス等の運転手、その他職員 |
| 児童発達支援 | 管理者、児童指導員、保育士、児童発達支援管理責任者、機能訓練担当職員、看護職員、指導員、栄養士、その他報酬算定の対象として法令上規定される職員 | 嘱託医、調理員、送迎バス等の運転手、その他職員 |
(ガイドラインp.44〜45をもとに作成)
「職種全体が対象」は事業者の判断で外せません(Q&A応用3-20)。運転手などは、支配性・継続性・閉鎖性の3要件をすべて満たすかで決まります。目安は、他の職員が同乗しない車内でこどもと接するかどうかです。こどもが複数いても、第三者の目がなければ該当し得ます(Q&A応用3-23、ガイドラインp.41〜42、p.46)。放課後等デイ・児童発達支援は、指定を受けた事業が義務対象です(Q&A応用3-10)。
「不適切な行為」は、それ自体は性暴力にあたらないものの、業務上の必要があるとまではいえず、続くと性暴力につながり得る行為です。例として、SNSでの私的なやり取り、私的な端末での業務外の撮影、こどもと二人きりで私的に会うこと、不必要な身体接触、特定のこどもばかり理由なく担当しようとすることが挙げられています(Q&A基礎2-3〜2-5)。
一律に不適切とは限らないため、職員と話し合い、過度に萎縮しないよう事業者ごとに範囲を決めます。決めた内容は、入園時の資料などで保護者にも周知します(ガイドラインp.119)。参考例では、行為をした場合や、それを理由に逮捕・起訴された場合の法人への速やかな報告義務と、犯罪事実確認(職員に性犯罪の前科がないかを、こども家庭庁を通じて確かめる手続き)に応じる義務(違反は懲戒事由)を定めています。
国の就業規則参考例(別紙5)の懲戒事由は4類型です。一般的な刑罰法規違反・企業秩序違反、業務命令違反、児童対象性暴力等・不適切な行為、重要な経歴の詐称です。
試用期間の解約事由には「重要な経歴の詐称」を定めます。内定取消しの事由は、内定通知書や誓約書に書けば足り、就業規則に定めることまでは求められていません(参考例)。なお、国の確認(犯罪事実確認)は内定前にはできません(Q&A基礎6-4)。そのため、採用選考の段階で、誓約書などにより前科の有無を本人にはっきり確かめておくことが大切です。採用選考で前科の有無を確かめていなかった場合は、内定後の国の確認で前科が分かっても、そのことだけを理由にすぐ内定を取り消すことは、合理性・相当性が認められにくいと考えられています。この場合は、まず、こどもと接しない別の職での採用ができないかを検討し、それが難しいときに取消しを検討することになるとされています(ガイドラインp.220)。
国の確認は内定後にしかできないため(Q&A基礎6-4)、採用の段階では、次の3つの書類で本人の申告を確かめておきます。順番は、募集要項で採用条件を示す → 内定前に誓約書で前科がないことを申告してもらう → 内定通知書で内定取消しの理由を示す → 内定後に国の確認、です。誓約書の申告がうそで、内定後の確認で前科が分かった場合に、内定通知書の「重要な経歴の詐称」に当たると考えられています(Q&A基礎7-4)。そのため、3つの書類を同じ内容でそろえて整えます。
| 書類 | 参考例の内容 |
|---|---|
| 募集要項 | 特記事項に、犯罪事実確認が必要なことと、特定性犯罪の前科がないことを採用条件とすることを記載 |
| 誓約書 | 特定性犯罪事実該当者ではないこと、申告内容が事実であることを誓約 |
| 内定通知書 | 取消事由に「重要な経歴の詐称」と「犯罪事実確認に必要な手続等に対応しないとき」を記載 |
参考例の「令和8年12月25日施行の」という文言は、施行後は外します。
今いる職員にあとから誓約書を出してもらい、虚偽が分かったときに懲戒解雇できるか。Q&A応用7-3は、事後的に誓約書等を取った場合は、仮に虚偽の内容があっても、「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」には該当しないものと考えられる、としています。
今いる職員について国の確認で前科が分かった場合は、こどもと接する業務から外す配置転換などを行います(Q&A基礎7-5)。あとから取った誓約書では経歴詐称にあたらないため、配置転換を命じる根拠を就業規則に置いておくことが大切です。
規定例:「業務上の必要がある場合には、従業員に対して就業場所、職種、業務の変更を命ずることがある」。防止措置のための配置転換は、一般に業務上の必要性が認められます。
同意なしで命じられる場合:業務上の都合による配置転換の定めが就業規則にあり、職種や勤務地を限る合意がなければ、原則として本人の同意なしで命じられます。ただし、不当な動機による場合や、通常がまんすべき程度を大きく超える不利益を負わせる場合は、無効になり得ます。
処遇が変わる場合:配置転換で給与などの労働条件が変わる場合は、原則として本人の同意が必要です。国の資料には例外の具体例が示されていないため、同意を得て進めるのが安全です。
資格職:保育士などの資格職は、職種を限る合意がないかに注意します。
(こども家庭庁「防止措置と労働法制等を踏まえた留意点」p.12、ガイドラインp.224)
採用のときに前科の有無を確かめていなかった職員について、国の確認で前科があると分かることもあります。その場合でも、そのことだけを理由にすぐ解雇することは、合理性が認められにくいと考えられています。まず、配置転換や、担当する業務の範囲を限ることを検討します(ガイドラインp.227〜228)。
研修時間は労働時間に含まれます(ガイドラインp.126)。就業規則を作る・変えるときの手順は、次のとおりです。
職員に十分に説明する
常時10人以上の事業場では、過半数組合(職員の過半数でつくる労働組合)または過半数代表者の意見を聴く
常時10人以上の事業場では、所轄の労働基準監督署長へ届け出る
職員に周知する
(労働基準法89条・90条・106条1項、労働契約法7条・10条)
10人未満の事業場でも、懲戒や配置転換の根拠を持つには、就業規則などに定めて職員に周知しておくことが必要です(別紙5)。
まとめ
見直しは、範囲・服務規律・懲戒・試用期間・配置転換の順に確認すると進めやすくなります。募集要項、誓約書、内定通知書とも内容をそろえましょう。
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日本版DBSの準備、
何から始めればよいかご相談ください
社会保険労務士が、施設ごとに「やること」と「期限」を整理します。
5分の無料診断をする・こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」(令和8年9月改訂)p.41〜42、p.44〜45、p.46、p.119、p.126、p.220〜221、p.224、p.227〜228、別紙5(就業規則参考例)、別紙3(募集要項参考例)、別紙4(誓約書・内定通知書参考例)
・こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」(令和8年9月18日改訂)基礎2-3〜2-5・6-4・7-3・7-4、応用3-10・3-20・3-23・7-3
・こども家庭庁「防止措置と労働法制等を踏まえた留意点」p.12、p.23
※本記事は公表資料に基づく一般的な解説です。個別の施設の判断は、所轄庁またはこども家庭庁の問い合わせ窓口、専門家にご確認ください。