2026年09月30日
新潟の日本版DBS対応支援(保育園・こども園・放課後等デイ向け)はこちら
講師が数人の小さな教室でも、条件によっては日本版DBS(こども性暴力防止法)の認定の対象になります。「うちは対象なのか」「認定を受けたほうがよいのか」を、こども家庭庁の資料に基づいて整理します。新潟県内で教室を運営されている方へ、判断の材料をまとめました。
この記事の要点
学習塾やスポーツクラブなどは、法律に定義がありません。そこで「民間教育事業」として、次の5つの条件をすべて満たすものが対象とされています(Q&A基礎3-6、ガイドラインp.53〜55)。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| こどもに教える | こどもに知識や技芸を教えることが目的で、実際に教えている。大人とこどもの両方が対象でもよい。大人だけの教室にこどもが例外的に参加する場合は対象外 |
| 6か月以上 | 6か月以上にわたって実施し、その間に複数回教え、同じこどもが複数回参加できる。年に2回、それぞれ独立した別の講座を1回ずつ行うだけの場合は、対象外の例とされている |
| 対面 | 対面の指導がある。オンラインだけの教室は対象外。対面の指導(こどもの自宅以外)がある場合は、対象になり得る(ガイドラインp.55、Q&A応用3-8) |
| 事業者が用意した場所 | 教室など、事業者が指定した場所で教える。こどもの自宅や保護者が指定した場所は対象外。家庭教師も、自宅以外で教える場合があれば対象になる |
| 教える人が3人以上 | 派遣やボランティアも数えられる。3人が常にいる必要はない。複数の教室で1つの事業なら、すべての教室に3人は要らない |
例として、学習塾、そろばん教室、外国語会話教室、地域スポーツクラブ、クラブチーム、フィットネスクラブ、音楽・書道・生花・茶道などの教室が挙げられています(ガイドラインp.53・p.61〜62)。
講師などの犯罪事実確認ができる
確認の手続に進めるのは、認定を受けた後です(ガイドラインp.72〜73、Q&A基礎4-3)。
認定事業者マークを表示できる
募集案内、ウェブサイト、制服、名刺、求人広告などに付けられ、保護者や求職者に取組を伝えられます(Q&A基礎4-1・4-12)。
こども家庭庁のウェブサイトに公表される
事業者名、事業所の名称と所在地、事業の概要などが載り、保護者が認定の有無を確認できます(ガイドラインp.96〜97、Q&A基礎4-1)。
こども家庭庁は、できるだけ多くの認定対象事業者に認定を取ってほしいとしています。ただし義務ではありません(Q&A基礎4-8)。
認定を受けると、対象の講師などの確認を、認定日から1年以内に終える義務が生じます。対象は、認定の時点で教えている人と、前日までに内定していた人です。期限までに確認を行わないと、認定の取消しの対象になります(ガイドラインp.72、p.111図表23)。認定には、次の6つの基準を満たす体制が必要です(ガイドラインp.74〜81)。
| 基準 | 主な中身 |
|---|---|
| 犯罪事実確認の体制 | 責任者を選ぶ。確認の計画づくり、対象者への書面での事前通知、確認書のチェックなどを行う |
| 早期把握 | こどもの日常観察、発達段階に応じた定期的な面談・アンケート、報告・対応ルール |
| 相談体制 | 教室内の相談員または窓口の設置・周知と、外部の相談窓口の周知 |
| 児童対象性暴力等対処規程 | 防止措置、調査、被害を受けたこどもの保護・支援を定める規程。国のひな型がある |
| 研修 | 座学と演習を組み合わせる。認定申請の時点で働いている人は申請前に、内定者は従事するまでに受講する |
| 情報管理 | 管理責任者を置き、情報管理規程を作る。責任者を含め、その事業の対象者が2人以上いること |
認定の要件として作る「児童対象性暴力等対処規程」には、防止措置を定めます。防止措置とは、性暴力のおそれがあると認めたときに、その講師などをこどもと接する業務から外すなどの対応です。ただし、この規程に書いただけでは、講師などを懲戒処分することはできません。懲戒するには、就業規則に懲戒の種類と理由を定め、講師などに周知しておく必要があります。配置転換にも、就業規則などの根拠が必要です(ガイドラインp.80)。研修は、認定申請の時点で働いている人は申請前に、内定者は従事するまでに受講します(Q&A基礎5-11・5-12)。教える人が3人を下回った状態が続くのに届出をしないと、認定の取消しにつながり得ます(ガイドラインp.112)。
講師・指導員・指導者・トレーナー・師範など
職種全体が対象です。教室長など管理者も含まれます(ガイドラインp.58)。
受付、清掃、警備、運営スタッフなど
職種の一部が対象になり得ます。実際の業務が「支配性・継続性・閉鎖性」の3つをすべて満たすかで判断します。支配性はこどもより強い立場に立つこと、継続性はくり返し接すること、閉鎖性は第三者の目が届かない場面で接することです(ガイドラインp.60〜62、Q&A基礎3-12)。
3要件の見方
年に1回のイベント講師は、継続性がないと判断し得ます。他の職員や保護者が同席せず、第三者の目に触れない場面がある業務は、閉鎖性があるとされます。1人の講師にこどもが複数いる場合も含みます。SNSや学習ツールでのやり取りも含めて考えます(ガイドラインp.59〜60)。
雇用関係の有無は問いません
ボランティアでも、業務が3要件を満たせば対象です(Q&A応用3-14)。
認定を受けるかどうかは、事業者が決めます。判断のときは、次の点を確認してください。
体制
認定後は、対象の講師全員の確認と、規程・研修・相談窓口の運用が続きます。人数の条件は2つあります。1つは、塾の事業全体で教える人が3人以上いることです。教室ごとに3人いる必要はなく、3人が常にそろっている必要もありません。アルバイトや派遣、ボランティアも数に入ります。これは、事業が認定の対象(民間教育事業)に当たるための条件です。もう1つは、責任者を含めて、確認の対象となる人が2人以上いることです。これは、情報管理の基準です。責任者を誰が務めるかとあわせて、この2つの状態を保てるかを確認します(Q&A応用3-4・3-5、ガイドラインp.55・p.81)。
フランチャイズの教室
本部とは経営主体が別なので、加盟店(FC事業者)ごとに申請します。その加盟店の教える人が3人未満だと、認定は受けられません(Q&A応用4-11・応用3-4、ガイドラインp.97)。本部のサイトに未認定の教室が載る場合、その教室に認定事業者マークを付けたような掲載はできません(Q&A応用4-11)。
複数の教室・複数の事業
同じ事業の複数の教室は、1つの事業として申請します。一部の教室だけを認定することはできません。塾とスポーツ教室のように事業が違う場合は、別々に申請し、手数料も事業ごとです(Q&A基礎4-5、応用3-4・4-1)。
受けない場合は、次のことを押さえておきます。
犯罪事実確認の手続には進めません。認定事業者マークや、これと紛らわしい表示を、認定を受けていない事業に付けることは禁止で、罰則があります(ガイドラインp.72〜73・p.99)。
認定を受けない場合も、研修教材の活用や、早期把握・相談体制の整備などで、性暴力等の防止に努めるよう、こども家庭庁は求めています(Q&A応用3-14)。警察庁が作成した研修用資料も、習いごとの事業者へ周知するよう依頼されています(事務連絡 令和8年1月22日)。
「不適切な行為」とは、それ自体は性暴力ではないものの、続くと性暴力につながり得る行為です。その範囲は、事業内容に合わせて事業者が決めます。例として、こどもとSNSで私的にやり取りする、私的な端末でこどもを撮影する、二人きりで私的に会うことが挙げられています(Q&A基礎2-4、ガイドラインp.21〜22)。
申請は施行日(2026年12月25日)から行えます。審査は1〜2か月程度で、不備の修正期間は含みません(Q&A基礎4-2)。手数料は1事業あたり3万円で、認定の更新はありません(Q&A基礎4-3・4-6)。手続は、原則として国のシステム(こまもろうシステム)でオンラインで行います(ガイドラインp.88)。
GビズIDを取得する(オンラインなら最短即日。解説資料p.169)
システムでアカウントを登録する
申請書を入力し、書類を提出する
手数料を納付する
不備があれば補正する
結果の通知を受ける。認定後、マークの使用と犯罪事実確認の手続に進む
民間教育事業では、5つの条件を満たすことを、チェックボックスと資料で示します。資料は、こどもへのサービスが分かるウェブサイトやパンフレット、受け入れ人数、実施の頻度・期間や場所が分かる資料、主な指導者3人分の情報などです。ほかに、定款・登記事項証明書、責任者と研修受講の書類、対処規程、情報管理規程、誓約書が必要です(ガイドラインp.89〜92)。認定申請の書類作成・提出代理は、連携する行政書士におつなぎします。
認定後は、認定時の職員の確認が終わったときの届出、公表事項や規程を変えるときの届出(2週間前まで)、毎年1回の定期報告が続きます。初回は認定日から1年を経過する日の前日までです(Q&A基礎4-4・4-13・9-2)。
| 区分 | 確認の期限 |
|---|---|
| 認定日以降に新たに対象業務に就く人(採用・配置転換) | 業務を始める日まで |
| 認定時に働いている人・認定日の前日までに内定していた人 | 認定日から1年を経過する日まで |
| 一度確認した人 | 前回の確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日まで |
(Q&A基礎6-2・6-3・6-6、ガイドラインp.168)
内定前の確認はできません
国の確認(犯罪事実確認)は、本人が承諾していても、内定を出す前には申請できません(Q&A基礎6-4)。そのため採用の段階では、本人の申告で前科がないことを確かめ、うそが後で分かったときに内定取消しの理由に当たるよう、書類を先に整えておきます。認定を受けた後に講師を採用する場合の流れは次のとおりです。①募集:募集要項に「特定性犯罪の前科がないこと」を採用条件として書きます。②選考:内定を出す前に、誓約書で前科がないことを本人に申告してもらいます。③内定:内定通知書に、内定取消しの理由として「重要な経歴の詐称」を書いておきます。④国の確認:内定後に、こまもろうシステムで申請します。確認書が届くまで、日本国籍の方で2週間〜1か月程度、外国籍の方で1〜2か月程度かかります(Q&A基礎6-5)。⑤指導開始:確認が終わってから、こどもに教える業務を始めてもらいます。②の申告がうそで、④の確認で前科が分かった場合は、③の「重要な経歴の詐称」に当たり、内定取消しの理由になると考えられています(ガイドラインp.220〜221、Q&A基礎7-4)。新しい講師の指導開始日は、④にかかる期間を見込んで決めます。
急な欠員
国の確認が終わる前に働き始めてもらえる例外として、「いとま特例」があります。使えるのは、急な欠員などガイドラインが定めるやむを得ない事情があり、すぐに働いてもらわないと運営に著しい支障が出る場合に限られます。この場合は、働き始めてから3か月以内に確認を終えればよいとされています。一定の場合は6か月以内です。確認が終わるまでは、①原則としてこどもと一対一にしない、②研修を受けさせる、③管理職が定期的に巡回・声掛けをする、のすべてが必要です。①の例外として、急なけがや事故の対応で、ほかに対応できる人がいない場合などは、やむを得ず一対一になることが認められます。その場合も、管理職に事前に了解をもらうか、事後すぐに報告します。ふだんのシフトで長く一対一にすることは認められません。本人への書面での説明と、事情を示す書類の保存も求められます(Q&A基礎6-7〜6-9、ガイドラインp.78・p.175〜176)。
申請の時期は事業者が決めます。国のチェックリストが示す準備項目を、進めやすい順に並べます。
教室が5つの条件に当てはまるか確認する
GビズIDを取得する
対象になる講師・スタッフの範囲と、「不適切な行為」の範囲を決める。責任者を選ぶ
就業規則、募集要項、誓約書、内定通知書を見直す
相談窓口、報告・対応ルール、面談・アンケートの方法を整える
対処規程と情報管理規程を作り、講師の研修を行う。情報管理担当者向けと事業者向けの研修も受ける
こども・保護者に取組を知らせる
まとめ
学習塾や習い事教室は、条件を満たせば認定の対象になり、受けるかどうかを教室が選べます。判断のときは、5つの条件、講師の人数と体制、規程や研修にかけられる時間を確認してください。
「うちの教室は対象か」「認定を受けるべきか」を整理するために、5分の無料診断をご用意しています。5分の無料診断はこちら。就業規則や募集要項など雇用管理の見直しは社会保険労務士が、認定申請の書類作成・提出代理は連携する行政書士におつなぎします。
日本版DBSの準備、
何から始めればよいかご相談ください
社会保険労務士が、施設ごとに「やること」と「期限」を整理します。
5分の無料診断をする・こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」(令和8年9月改訂)p.21〜22、p.53〜55、p.58〜62、p.72〜81、p.88〜99、p.111〜112、p.168、p.220〜221
・こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」(令和8年9月18日改訂)基礎2-4・3-6・3-12・4-1〜4-6・4-8・4-12・4-13・5-11・5-12・6-2〜6-9・7-4・9-2、応用3-3〜3-8・3-14・4-1・4-11
・こども家庭庁「こども性暴力防止法の施行までに必要な対応(認定対象事業者)」(チェックリスト)
・こども家庭庁「こども性暴力防止法の解説資料(事業者向け)」第11章 認定(p.162〜、p.169)
・こども家庭庁事務連絡「児童対象性暴力等の未然防止、早期把握等に資する警察庁作成の資料等について」(令和8年1月22日)
※本記事は公表資料に基づく一般的な解説です。個別の教室の判断は、所轄庁またはこども家庭庁の問い合わせ窓口、専門家にご確認ください。