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学童保育(放課後児童クラブ)は日本版DBSの対象?認定を受けるかの判断と、施行日までの準備

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日本版DBSコラム 第4回

学童保育の運営者にとって、日本版DBS(こども性暴力防止法)は「うちは対象なのか」「認定を受けたほうがよいのか」が分かりにくい制度です。こども家庭庁の資料に基づいて、判断の材料と準備を整理します。

情報の基準日:2026年9月27日(こども家庭庁 施行ガイドライン 令和8年9月改訂、Q&A 令和8年9月18日改訂)/執筆:NA&HRコンサルティング社会保険労務士法人 所長 社会保険労務士 井上智玄

この記事の要点

  1. 学童保育(放課後児童クラブ)は、認可保育所のような「義務」ではなく、「認定」の対象です。認定を受けるかどうかは任意です。
  2. 認定を受けると、職員の犯罪事実確認ができ、認定事業者マークを表示できます。犯罪事実確認とは、職員に性犯罪の前科がないかを、こども家庭庁を通じて確かめる手続きです。認定の申請は施行日(2026年12月25日)から、審査は1〜2か月程度です。
  3. 市町村から運営を任されている学童は、市町村と役割分担を決め、2者で一緒に1つの認定を受ける「共同認定」という形があります。まず市町村に方針を確認することが第一歩です。
  4. 認定を受けると、対象の職員の確認を、認定日から1年以内に終える義務が生じます。対象は、認定の時点で働いている人と、前日までに内定していた人です。期限までに確認を行わないと、認定の取消しの対象になります。

1学童は「認定」の対象です(義務ではありません)

認可保育所や児童館は、法律で措置(性暴力を防ぐための取組)が義務づけられる「義務対象」です。学童は、こども家庭庁の認定を受けた場合に、同じ水準の措置をとる「認定対象」です。公立か民間かではなく、事業の種類で決まります(Q&A基礎3-1〜3-3)。

学童の形 区分と考え方
民間が設置・運営する学童(民設民営) 認定対象。手数料は1事業あたり3万円
市町村が設置・運営する学童(公設公営) 認定対象。市町村が単独で申請する場合、手数料は不要
市町村が設置し、運営全体を民間に委託(公設民営) 認定対象。市町村と運営者が「共同認定」を受けられ、手数料は不要。運営者が要件をすべて満たせるなら単独申請もできるが、その場合は手数料が必要
放課後子供教室・地域未来塾など、学童に類する事業 認定対象
児童館・保育所などの設置者が、その施設内で一体的に行う学童 一定の条件を満たせば、認定を受けなくても、義務対象の職員と同じく犯罪事実確認ができる

(根拠:Q&A基礎3-2・3-3・3-10・4-7、応用3-11・3-29・4-10、ガイドラインp.56・p.65〜66)

一体運営の条件は、義務対象の事業が主たる事業(または同規模)であること、職員管理を一元的に行うこと、原則として同じ敷地にあることなどです。この場合に付けられるのは法定事業者マークです(ガイドラインp.101)。

2認定を受けるメリット

職員の犯罪事実確認ができる

確認の手続に進めるのは、認定を受けた後です(ガイドラインp.72〜73、Q&A基礎4-3)。

認定事業者マークを表示できる

案内パンフレット、募集案内、ウェブサイト、名刺、求人広告などに付けられ、保護者や求職者に取組を伝えられます(Q&A基礎4-1・4-12)。

こども家庭庁のウェブサイトに公表される

事業者名、事業所の名称と所在地、事業の概要などが載ります(ガイドラインp.96〜97、Q&A応用4-12)。

こども家庭庁は、できるだけ多くの認定対象事業者に認定を取ってほしいとしています。ただし義務ではありません(Q&A基礎4-8)。

認定を受けると、対象の職員の確認を、認定日から1年以内に終える義務が生じます。対象は、認定の時点で働いている人と、前日までに内定していた人です。期限までに確認を行わないと、認定の取消しの対象になります(ガイドラインp.72、p.111図表23)。

3認定を受けるための要件

認定には、次の6つの基準を満たす体制が必要です(ガイドラインp.74〜81)。

基準 主な中身
犯罪事実確認の体制 責任者を選ぶ。確認の計画づくり、対象職員への書面での事前通知、確認書のチェックなどを行う
早期把握 こどもの日常観察、発達段階に応じた定期的な面談・アンケート、報告・対応ルール
相談体制 事業所内の相談員または窓口の設置・周知と、外部の相談窓口の周知
児童対象性暴力等対処規程 防止措置、調査、被害を受けたこどもの保護・支援を定める規程。国のひな型がある
研修 座学と演習を組み合わせる。認定申請の時点で働いている職員は申請前に、内定者は従事するまでに受講する
情報管理 管理責任者を置き、情報管理規程を作る。あわせて、責任者を含めて、認定を受ける学童の事業全体で、確認の対象となる職員が2人以上いることが必要

認定の要件として作る「児童対象性暴力等対処規程」には、防止措置を定めます。防止措置とは、性暴力のおそれがあると認めたときに、その職員をこどもと接する業務から外すなどの対応です。ただし、この規程に書いただけでは、職員を懲戒処分することはできません。懲戒するには、就業規則に懲戒の種類と理由を定め、職員に周知しておく必要があります。配置転換にも、就業規則などの根拠が必要です(ガイドラインp.80)。研修は、認定申請の時点で働いている職員は申請前に、内定者は従事するまでに受講します(Q&A基礎5-11・5-12)。研修時間は労働時間に含まれます(ガイドラインp.126)。

4市町村の事業との関係(公設・委託)で確認すること

運営全体を委託されている場合

市町村が学童を設置し、運営をまるごと民間の法人に任せている形(公設民営)です。この場合、市町村は「事業者」、運営する法人は「事業運営者」という立場になります。2者で一緒に1つの認定を受ける「共同認定」ができます。措置をどちらが行うかの役割分担は、協定や委託契約で決め、申請書類にも書きます。どちらが主に申請するという決まりはなく、双方の合意が前提です。委託先が複数ある市町村では、委託先ごとに別々の共同認定が必要です(ガイドラインp.85〜87・p.93、Q&A応用4-7・4-8)。

一部の業務だけを委託されている場合

たとえば体験活動だけの委託は「事業運営者」にあたりません。市町村が単独で認定を受け、委託先の職員の確認や現場の安全確保も市町村が行います(ガイドラインp.87)。

補助金だけを受けている場合

民間事業者が単独で申請します(Q&A基礎4-10)。

市町村の方針

法律は「認定事業者にだけ委託する」といった条件を求めていません。ただ、市町村が委託や補助の条件に認定を入れることは妨げられていません(Q&A応用4-14)。県内の各市町村の方針は、資料では確認できません。市町村に問い合わせておくと安心です。

5認定を受けない場合でも考えたいこと

  • 認定を受けないと、犯罪事実確認の手続には進めません。認定事業者マークや、これと紛らわしい表示を、認定を受けていない事業に付けることは禁止で、罰則があります(ガイドラインp.72〜73・p.99)。

  • 認定を受けない場合も、研修教材の活用や、早期把握・相談体制の整備などで、性暴力等の防止に努めるよう、Q&A(こども食堂についての問)でも取組をお願いしています(Q&A応用3-14)。

  • 警察庁が作成した研修用資料や、盗撮防止のための施設点検の資料は、こどもの居場所や習いごとの事業者へ周知するよう、都道府県などに依頼されています(こども家庭庁事務連絡 令和8年1月22日)。

6認定申請の時期と手続

申請は施行日(2026年12月25日)から行えます。審査は1〜2か月程度で、不備の修正期間は含みません(Q&A基礎4-2)。手数料は1事業あたり3万円で、認定の更新はありません(Q&A基礎4-3・4-6)。手続は、原則として国のシステム(こまもろうシステム)でオンラインで行います(ガイドラインp.88)。

  1. GビズIDを取得する(オンラインなら最短即日。解説資料p.169)

  2. システムでアカウントを登録する

  3. 申請書を入力し、書類を提出する

  4. 手数料を納付する

  5. 不備があれば補正する

  6. 結果の通知を受ける。認定後、マークの使用と犯罪事実確認の手続に進む

主な書類は、法人の定款・登記事項証明書、事業を行っていることを示す資料(学童は事業開始届出書の写し)、対象職員の業務を説明する資料、責任者の情報と研修の受講を示す書類、児童対象性暴力等対処規程、情報管理規程、誓約書などです(ガイドラインp.89〜92)。認定申請の書類作成・提出代理は、連携する行政書士におつなぎします。

認定後は、次の届出と報告が続きます。1つ目は、認定時の職員の確認が終わったときの届出です。2つ目は、公表事項や規程を変えるときの届出で、変える2週間前までに出します。公表事項とは、こども家庭庁のサイトに載る事業者名、事業所の名称・所在地などです。3つ目は、毎年1回の定期報告です。初回は認定日から1年を経過する日の前日までです(Q&A基礎4-4・4-13・9-2)。

7採用と、今いる職員の確認の流れ

区分 確認の期限
認定日以降に新たに対象業務に就く人(採用・配置転換) 業務を始める日まで
認定時に働いている人・認定日の前日までに内定していた人 認定日から1年を経過する日まで
一度確認した人 前回の確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日まで

(Q&A基礎6-2・6-3・6-6、ガイドラインp.168)

対象になる職員

放課後児童支援員、補助員、看護職員、事業所長的立場の人は、職種全体が対象です。送迎バス等の運転手は、他の職員が同乗しないバスでこどもと接するか(こどもが複数いても、第三者の目がなければ該当し得ます)など、実態で判断します(ガイドラインp.60・p.62、Q&A基礎3-12・応用3-23)。ボランティアも、こどもと接する内容によって対象になります(Q&A応用3-14)。

内定前の確認はできません

国の確認(犯罪事実確認)は、本人が承諾していても、内定を出す前には申請できません(Q&A基礎6-4)。そのため採用の段階では、本人の申告で前科がないことを確かめ、うそが後で分かったときに内定取消しの理由に当たるよう、書類を先に整えておきます。認定を受けた後に採用する場合の流れは次のとおりです。①募集:募集要項に「特定性犯罪の前科がないこと」を採用条件として書きます。②選考:内定を出す前に、誓約書で前科がないことを本人に申告してもらいます。③内定:内定通知書に、内定取消しの理由として「重要な経歴の詐称」を書いておきます。④国の確認:内定後に、こまもろうシステムで申請します。確認書が届くまで、日本国籍の方で2週間〜1か月程度、外国籍の方で1〜2か月程度かかります(Q&A基礎6-5)。⑤勤務開始:確認が終わってから、こどもと接する業務を始めてもらいます。②の申告がうそで、④の確認で前科が分かった場合は、③の「重要な経歴の詐称」に当たり、内定取消しの理由になると考えられています(ガイドラインp.220〜221、Q&A基礎7-4)。採用の日程は、④にかかる期間を見込んで組みます。

急な欠員

国の確認が終わる前に働き始めてもらえる例外として、「いとま特例」があります。使えるのは、急な欠員などガイドラインが定めるやむを得ない事情があり、すぐに働いてもらわないと運営に著しい支障が出る場合に限られます。この場合は、働き始めてから3か月以内に確認を終えればよいとされています。一定の場合は6か月以内です。確認が終わるまでは、①原則としてこどもと一対一にしない、②研修を受けさせる、③管理職が定期的に巡回・声掛けをする、のすべてが必要です。①の例外として、急なけがや体調不良などで、ほかに対応できる職員がいない場合は、やむを得ず一対一になることが認められます。その場合も、管理職に事前に了解をもらうか、事後すぐに報告します。ふだんのシフトで長く一対一にすることは認められません。本人への書面での説明と、事情を示す書類の保存も求められます(Q&A基礎6-7〜6-9、ガイドラインp.78・p.175〜176)。

8施行後すぐに申請する場合の準備

申請の時期は事業者が決めます。国のチェックリストが示す準備項目を、進めやすい順に並べます。

  1. 運営全体の委託を受けているなら、市町村と共同認定か単独かを相談する。補助だけなら単独申請になるが、市町村が委託・補助の条件に認定を入れていないか確認する(Q&A応用4-14)

  2. GビズIDを取得する

  3. 対象職員の範囲と、「不適切な行為」の範囲を決める。責任者を選ぶ

  4. 就業規則、募集要項、誓約書、内定通知書を見直す

  5. 相談窓口、報告・対応ルール、面談・アンケートの方法を整える

  6. 対処規程と情報管理規程を作り、職員研修を行う。情報管理担当者向けと事業者向けの研修も受ける

  7. こども・保護者に取組を知らせる

まとめ

学童は、認定を受けるかどうかを事業者が選べます。判断のときは、市町村との関係、対象職員の人数と体制、規程や研修にかけられる時間を確認してください。

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この記事の出典(こども家庭庁の資料)

・こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」(令和8年9月改訂)p.56、p.60、p.65〜66、p.72〜81、p.85〜99、p.101、p.126、p.168、p.220〜221(ほかp.62、p.78、p.111)

・こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」(令和8年9月18日改訂)基礎3-1〜3-3・3-10・3-12・4-1〜4-4・4-6〜4-8・4-10・4-12・4-13・5-11・5-12・6-2〜6-9・7-4・9-2、応用3-11・3-14・3-23・3-29・4-7・4-8・4-10・4-12・4-14

・こども家庭庁「こども性暴力防止法の施行までに必要な対応(認定対象事業者)」(チェックリスト)

・こども家庭庁「こども性暴力防止法の解説資料(事業者向け)」第11章 認定(p.162〜、p.169)

・こども家庭庁事務連絡「児童対象性暴力等の未然防止、早期把握等に資する警察庁作成の資料等について」(令和8年1月22日)

※本記事は公表資料に基づく一般的な解説です。個別の施設の判断は、所轄庁またはこども家庭庁の問い合わせ窓口、専門家にご確認ください。