2020年05月11日
こんにちは。産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの遠藤華子です。
このところ組織開発や行動分析学の書籍を読む機会がぐっと増えました。組織開発に心理学を取り入れることの効果測定が大企業で進んでいます。
前回コラムで少し触れました「心理的安全性」。
これは、グーグルが発見した「成果の出るチームの共通点」の一つです。
組織開発の分野で大きな注目を集めている心理的安全性ですが、心理的安全性が高い状態とは、一体どのような状態を表しているのでしょうか。
経営者やチームを導く立場にあるリーダーの方は、ぜひ参考にしてください。
心理的安全性とは「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語訳した心理学の用語です。
拒絶されることがなく、他者からの反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分自身をさらけ出すことのできる環境のことをいいます。
誰にどのような発言をしても罰せられないという「ルールが決められていること」ではありません。
誰にどのような発言をしても罰せられない「雰囲気」「暗黙の了解」のことをいうのです。
心理的安全性を、「単に仲が良いこと」又は、「罰せられないというルールを決めること」と誤解しては、本来の目的からかけ離れてしまいます。
職場環境における心理的安全性の高まりが、生産性の向上に関係していることが明らかになっています。
メンバーのエンゲージメント向上、仕事のクオリティ向上、これこそが心理的安全性を実現する意味のあるところです。
グーグルは本プロジェクトの中で自社の数百にも及ぶチームを分析の対象として、どのようなチームがより生産性が高い働き方をしているのか調査をしました。
その結果、チームメンバーの能力や働き方によって生産性が左右されるのではなく、他者への心遣いや、どのような気づきも安心して発言できるという心理的な要素が、生産性に影響していることがわかりました。
チームのメンバーが自分自身をさらけ出し、自由に、過度に周囲に遠慮をすることなく発言や行動できる状態や雰囲気の職場こそが、強いチームの秘訣。
これがグーグルの生産性向上計画である「プロジェクト・アリストテレス(Project Aristotle)」によって明らかになった事実でした。
心理的安全性により得られる効果は4つあります。
①報連相の機会が増える。
②アイデアの質が高まる
③主体性が向上する
④離職率の低下
心理的安全性を高めることで得られる効果は、多くの企業が求めている効率よく、生産性が高い働き方なのです。
心理的安全性を高めるアプローチ方法を3つご紹介します。
①組織内での発言機会を均等に与える
②個人的に自発的な質問が出来る環境を作る
③組織とって貴重な1人であることを認識してもらう
心理的安全性の高い組織のもっとも大きな特徴は、各々のメンバーに均等な発言の機会があることです。
発言の機会を確保するだけではなく、発言に対する「4つの不安」を取り除き、安心して発言できる環境を整えることも重要です。
その4つの不安とは、
①「無知ではないか」
②「無能ではないか」
③「邪魔してはいけない」
④「ネガティブな感情を知られたくない」
こうした「4つの不安」は心理的安全性が不足している組織でよく起こると言われます。
リーダーは各メンバーに対して均等に発言を促すことや、発言を頭ごなしに否定しないといった明確なルールを設けるなどの努力が必要となります。
心理的安全性を高めるためには話しやすい環境を作ることも必要です。
話しやすい環境を作るためには、コミュニケーション技術を高める必要があると言えます。
「心理的安全性」は、もともと心理学の世界で存在していましたが、グーグルの研究報告のより、世界的に注目され、多くの企業が自社の心理的安全性を考えるようになりました。
心理的安全性を高めることは、チームの生産性向上、従業員QOL(クオリティオブライフ)の向上、ワークエンゲージメントの向上など、プラスの影響をもたらします。
ぜひ自社の職場環境を見直し、心理的安全性が確保されているか確認してみて下さい。
働くすべての人が幸せでありますように!
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産業カウンセラー、キャリアコンサルタント
遠藤 華子